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オテル・ド・リーヴ

ひとは料理人として死んでいくことはできるが
ひとは料理人として生まれてくるのか

Allez, cuisine.

はたして
わたしは蒼穹にレシピを描く

あるいは
農夫となって汗を流し
陽のにおいを着たエシャロットの土を噛む

あるいは
漁師となって糸を垂れ
潮のみずみずしさのなかに舌平目の体温を計る

土と水のふくよかな抱擁
光と風のかぐわしい接吻

生と死のはざまに
わたしはナイフをすべらせる
時間の記憶をたどりながら

饒舌と沈黙の出会いに
わたしは火をいれる
転生の声をききながら

ゆきずりの客の
腹をみたすものは
まあたらしいわたしの驚き

横たわる料理が
客のなかで生きるよう祈る言葉

Bon appetit!

この一枚の
皿のうえにわたしはある




「オテル・ド・リーヴ」は架空の料理店。

料理を供しながら日々を送るひとたちに思いを馳せて、
しばらく前に書いた、詩のようなものです。
# by revenouveau | 2005-06-02 13:50 | 詩歌のようなもの