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雷の季節の終わりに

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


日本と地つづきでありながら、ずれた層にあるために、ひとにも知られず、
地図にも載らず、現世からかくれて存在する町〈穏(おん)〉。

そこには、四季のほかに、春を迎える前、鬼たちが闊歩し、ひとが消える
雷の季節があるのだといいます。

物語の主人公は、そのふしぎな町〈穏〉でくらす少年・賢也。

かれには、いっしょにくらしていた姉がいたのですが、ある年の雷の季節、
行方不明に。さて、かのじょは、どこに消えてしまったのでしょう。

そして、そのときを境に、賢也は、〈風わいわい〉というもののけにとり
憑かれてしまいます。

むかしから〈風わいわい〉憑きを忌み嫌ってきた〈穏〉のひとびと。

賢也は、あるできごとをきっかけに、無実の罪を着せられ、町を追われる
ことに…

どこかなつかしく民俗学的な香りのする物語は、まさしく恒川光太郎さん
ならでは。

妖怪たちが店をだし、望むものがなんでも手にはいるふしぎな市場を舞台
にした前作「夜市」よりも壮大で、ながい本作は、きっと、あなたを異世
界へと誘ってくれるはずです。

■著者:恒川光太郎 ■出版社:角川書店 ■価格:税込1575円

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by revenouveau | 2007-04-09 09:52 | 立読のようなもの
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