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歌説話の世界

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


美術館にかざられた屏風絵のように、わたしたちのふだんからは、かけは
なれたイメージのある古典和歌。

この本は、歌人・馬場あき子さんが、そんな古典和歌のおもしろさやゆた
かさの扉をおおきく開き、その楽しさを教えてくれる一冊です。

タイトルにある(歌説話)とは、「大和物語」「伊勢物語」「今昔物語」
「無名抄」「袋草子」などの古典文学につづられている、ある歌が生まれ
たときのエピソードのこと。

なかでも、歌の優劣論としてとりあげられている、柿本人麻呂と山部赤人、
和泉式部と赤染衛門、藤原定家と藤原家隆、といったライバルどうしにま
つわる説話は、これまで古典文学にふれる機会のすくなかった方にも、興
味深いものとなっているはず。

はたして、歌のやりとりが、社交の場においておおきな意味をなしていた
時代とは、どのようなものであったのでしょうか。

馬場あき子さんは、この本の結びに、こうつづっています。

   そうした歌人たちの末に自分の存在があることを思うのはじつ
   に豊かである。その折、その折を乗り切った歌よみたちの顔は、
   いつでも、いまを励ましてくれる顔として身近にある。

あなたもひとつ詠んでみてはいかがでしょう。

■著者:馬場あき子 ■出版社:講談社 ■価格:税込1785円

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by revenouveau | 2007-01-17 10:30 | 立読のようなもの
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