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蟹塚縁起

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


いつのころでしょうか。だいぶむかしのお話しです。

とうきちは、名主の息子にひどいことをされている蟹を助けてあげました。

そして、ある真夜中、とうきちを目覚めさせた物音。

それは、青い月明かりの下を、ながい帯のようになって、どこまでもつづ
く、蟹が行列している音でした。

蟹の後をつけて歩いているうち、とうきちが、思い出したのは、生まれる
前のこと。

とうきちは、そのころ、何千もの兵を率いて戦っていた武将だったらしい
のです。

さて、蟹の行く先にあるのは、どうやら名主の家。

物語をつないでいる、とうきちと蟹と名主とのあいだにある因縁とは…

さいごの部分、憎しみの連鎖ともいえる無念をあらたな情感へと昇華して
いくあたりは胸をうたれます。

■著者:梨木香歩 ■絵:木内達朗 ■出版社:理論社
■価格:税込1365円

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by revenouveau | 2006-10-03 09:51 | 立読のようなもの
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