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幸福な食卓

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


淡々とした文章のなかに、おもしろさや、せつなさがちりばめられている
瀬尾まいこさんの長編小説です。

   「父さんは今日で父さんをやめようと思う」

そんな、意味不明で、衝撃的ともいえる一言から物語ははじまります。

主人公の佐和子と、父さんをやめた父さん、家出中にもかかわらず毎日の
ように料理を持って帰ってくる母さん、元天才児の兄の直ちゃんといった
“へんな家族”を中心に、くりひろげられるストーリー。

父をやめる、母をやめる、親に期待される子どもをやめる、…

この作品の、登場人物たちは、家族における、じぶんの役割を、さらりと
やめてみせるのです。

えっ? こんなことがあっていいのでしょうか。

恋人や友だち、まわりのひとがささえになってくれることは、ときとして
あります。

けれど、なにか、ちがうと感じはじめる佐和子たち。

いちど離れて、苦しんで、いつもちかくに、自然なかたちでいるのは家族
であってほしいと、あらためて気づくのです。

■著者:瀬尾まいこ ■出版社:講談社 ■価格:税込1470円

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by revenouveau | 2006-02-08 08:55 | 立読のようなもの
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