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ピアニストが見たピアニスト

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


負をさらけ出した人 スビャトスラフ・リヒテル

イリュージョニスト ベネデッティ=ミケランジェリ

ソロの孤独     マルタ・アルゲリッチ

燃えつきたスカルボ サンソン・フランソワ

本物の音楽を求めて ピエール・バルビゼ

貴公子と鬼神の間  エリック・ハイドシェック

ピアノを弾かれない方でも、この中のひとりは、名前をきいたことがある
のではないでしょうか。

この本の著者は、マルセイユ音楽院を主席で卒業し、現在は、大阪音大の
教授をつとめている青柳いづみこさん。

すさまじいほどの暗譜力を誇ったリヒテル氏が、あるときから譜面をみる
ようになったのは、なぜなのか。キャンセル魔で知られるアルゲリッチ氏
は、なぜソロを弾かないのか。自宅でも、ステージでも「トリップ」して
いるのが日常だったというフランソワ氏の真実は…。さらに、青柳さんの
師であったバルビゼ氏についても推論が。

ひとりあたり10ページほどを使い、じっさいの演奏や録音を聴いた経験、
そのほか映像などの資料から、かなりつっこんだ青柳さんの推理。そして、
そこには、ピアニストとして、ピアニストを見る、おそろましいまでの眼
によって、さまざまな検証と想像が行なわれています。

あばかれる秘密は、それぞれ違いますが、すべてのピアニストに共通して
見いだされるものは、不安。

ピアノに関わる仕事をされている方々や、ピアノ愛好家のみなさんには、
ぜひお読みいただきたい一書です。

くわえていえば、この手の本にありがちな、退屈さをまぎらわせてくれる
のは、「家政婦は見た」的なおもしろさがあるところかもしれません。

■著者:青柳いづみこ ■出版社:白水社 ■価格:税込2100円

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【弾いてみたい(または、弾けるといいな)ピアノ曲ランキング】

第1位 超絶技巧練習曲・第4曲「マゼッパ」 リスト
       ウクライナの解放を導いた実在の王をモチーフにした曲。
       馬が疾走していくようすを、どこまで表現できるのかが
       ポイントといわれていますね〜。

第2位 結婚行進曲と変奏曲 メンデルスゾーン=リスト=ホロヴィッツ
       楽譜、手にいれるのがむずかしそうです。

第3位 美しき青きドナウ ヨハン・シュトラウス2世
       おそろしいほどの装飾音の数々。手がこわれそうな…

じっさい、手の腱、切れちゃってますから、むりでしょうね。
by revenouveau | 2005-09-14 07:38 | 立読のようなもの
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