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あしたはうんと遠くへいこう

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


15年という歳月で、ひとはどのくらい成長できるのでしょうか。

  あしたはいつか、この小さな場所からどこかへ出ていくことができる
  のだろうか…

そんなふうにつぶやく栗原泉は、田舎の温泉町で生まれ育った17歳の高校生。

東京の大学にでてきて、卒業して、働いて…

こんどこそ、幸せになりたい。

そう願って、さまざまな恋愛を繰りかえしながら、すこしずつ、すこしずつ
あしたをめざして歩く15年。

同棲したり、アイルランドへ一人旅にでかけたり、ドラッグを経験したり、
宗教に凝ったり、ストーカーにつけまわされたり、友だちの不倫問題で誘拐
まがいのことまで…

さまざまなことを知って成長しているはずなのに、ひとを好きになったとき
だけは、なぜか「あのころのまま」。じぶんとは、ぜんぜんちがう、別人に
のようになってしまったりもします。

いろいろなことが、唐突にはじまり、唐突におわる。そのはてに見えてきた
ものは、なんだったのでしょうか。

わたしは、いったい、なにものなの。

なんど失敗しても、まただれかを好きになれる、そんなじぶんがすてきだと
も思う。かっこいいことばかりじゃないけれど、それでも、前をむいて歩い
ていける、そんなじぶんが大好き。

あしたはうんと遠くへいこう。

インディーズロックの名曲の名前がつけられた各章のタイトル。物語の裏で
音楽がいつもながれているような、よきロックンロール・リスナーでもある
角田光代さんならではの作品。

って、これは、なんと角田さん初めての恋愛小説でした。

■著者:角田光代 ■出版社:マガジンハウス ■価格:税込1470円
※角川文庫から文庫版がでています。(税込460円)

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by revenouveau | 2005-07-11 11:07 | 立読のようなもの
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