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アタシ、どこか間違ってる?  (14)

「大目玉をいただきました」


さて、この言い方のどこが間違っているのでしょうか。

正解例は、こちら...
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by revenouveau | 2006-09-29 10:01 | 美句のようなもの

紙の子守歌   (8)



 指物、蒔絵、漆器、下駄、張子、鋸鍛冶、…
「この、めんぱ、というのですか、これはなんですか」
「それは、檜の柾板を薄くひき、曲げ木のように輪にしたものを桜皮で
縫ってとめ、檜の板で底をつけたものです。蓋もおなじようにしてつく
り、ぴたりと合うようにしてから、漆で仕上げます。静岡市の北部にあ
る井川というところの特産です」
 用途はいろいろですが、弁当箱につかったりするのがおもなようです、
と記者は説明した。お櫃のような効果もあり、中身がながもちするのだ
ともいった。
「それは、知りませんでした。となりの県に何十年も住んでいながら、
なさけないことです」
「最近では、デパートの食器をあつかう売場などにもならんでいるよう
です。もっとも、ぼくだって、この取材をするまで、なにも知らなかっ
たんです」
「こちらこそ、こんな計画をもちこんだにもかかわらず、勉強不足でし
て…。デパートですか。買物などは、すべてうちのものにまかせっきり
で、知りませんでした」
 自慢できることではありませんな、と山並は、にが笑いした。
 ほかにも、船大工、魚籠、蛇の目傘、つげ櫛、紙漉きなど、その数は
思いのほか多い。

                           (つづく)

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「紙の子守歌」は、毎週月曜日・木曜日(平日)に掲載します。

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by revenouveau | 2006-09-28 09:55 | 小説のようなもの

イトウの恋

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


久保耕平は、横浜の中学校で郷土部の顧問をつとめる社会科の教師。

ある日、かれは、鎌倉の実家で、曾祖父の旅行鞄にしまってあった古文書
を発見します。

そこにつづられていたのは、明治時代、英国から日本にやってきたヴィク
トリア朝を代表する有名な女性旅行家と、通訳としてかのじょに同行した
20歳の青年イトウとの恋でした。

手記をもとにイトウの子孫や関係者をさがしあるく久保たちのユーモラス
な現代劇と、年上の外国人女性に恋をしたイトウのせつない心情とを交互
に描きながら展開するストーリー。

作品のなかで、久保耕平が調査の先で語った

  「語られ尽くしたとすら思われる、ある確固たる時代に、まったく
   語られることのなかった人物とその人の生きた時間があるとして、
   それが僕らに教えてくれるものが、なにか特別なものがあるので
   はないか」

そして、イトウがじぶんの娘に語った

  「おまえは誰のようになる必要もない、ただおまえ自身の不思議な
   人生を生きよ」

との言葉には、胸にせまるものがありました。

■著者:中島京子 ■出版社:講談社 ■価格:税込1680円

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by revenouveau | 2006-09-27 10:00 | 立読のようなもの

ハチドリのひとしずく

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


森でおきた火事に、水のしずくを一滴ずつ運んで火のうえに落としていく
ハチドリのクリキンディ。それを見て「そんなことをして、いったい何に
なるんだ」というほかの動物たち。

すると、クリキンディは、こう答えました。

「私は、私にできることをしているだけ」

南米のアンデス地方に住む先住民族キチュアの友人から、このハチドリの
話しを聞いて胸を打たれた辻信一さんは、この物語をひとりでもおおくの
ひとに伝えようと、この本をまとめました。

「いま、私にできること」

おおくのことはできないかもしれないけれど、クリキンディが示してくれ
たように、いま世界で起きていることに対して私にできる何かがあるはず。

はたして、森の火事は、……

そのつづきを書くのは、私たち自身であることを教えてくれる一冊です。

■監修:辻 信一 ■出版社:光文社 ■価格:税込1200円

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by revenouveau | 2006-09-26 09:27 | 立読のようなもの

紙の子守歌   (7)



 宣伝課の課長とはいえ、民具の収集などという仕事に関して山並は素
人である。ましてや、民芸資料館なるものがどういった手順をふんでつ
くられるのかなど、まったくわからない。宣伝課は、山並をいれて四人
の部署だが、通常の仕事とあわせてそうした計画をすすめていくのにそ
れだけの人数ではでは、とうてい手が足りなかった。道はとざされるば
かりである。
 手はじめに、山並は、新聞社に勤める友人をたずねた。
「山ちゃんも、あいかわらず大変だね」
「好んでやっているのだから仕方がない。これが、私の業だろう」
 役にたつかどうか、と友人は、神奈川から静岡にかけて、さまざまな
職人を取材してあるいたことのある記者を紹介してくれた。

「なるほど、わかりました。しかし、民間の方がそういうことをなさる
というのは興味深いことです。ぼくにできることであれば、惜しまず協
力しますよ」
 記者は、三十半ばであろうか、相手の目をまっすぐにみて話す姿に誠
実さがあった。
 少々お待ちください、と彼は席をたっていき、さまざまな取材記録を
整理してならべた棚へと歩みより、書類を手にもどってきた。山並は、
のりかかるようにして机のうえに置かれた書類に目をおとした。

                           (つづく)

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by revenouveau | 2006-09-25 09:31 | 小説のようなもの

アタシ、どこか間違ってる?  (13)

「耳ざわりのいい言葉をならべる」


さて、この言い方のどこが間違っているのでしょうか。

正解例は、こちら...
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by revenouveau | 2006-09-22 09:42 | 美句のようなもの

紙の子守歌   (6)



「で、なにをしようとお思いなので…」
「これだよ、これ」
 社長は、図録をとじ、表紙を指先をかるくたたくと、特徴ある早口で
語りはじめた。
 話しは、社屋のとなりにある〈住まいの博物館〉に隣接して、郷土に
つたわるものを中心とした古民具などを展示紹介する民芸資料館のよう
な施設を新たにつくることを考えているというものだった。素朴な語り
口にも、心の裡の熱が感じられる。想いのたけが、ことばの端はしにほ
とばしっていた。
「どう、思う。宣伝課長としての意見は。いやまて、友人としての意見
を聞こう」
「それは、結構なお考えと思いますが、展示品の収集がことですね」
「だから、山並さんに相談してるんじゃないか」
「おひきうけします」
 山並に逡巡はなかった。
 社長は、山並に礼をいいながら椅子からたちあがり、窓のむこうに目
をおとした。
「ものは、どう転んでも、ただのものかもしれない。ひとの便利のため
に生まれてきたのだから、必要がなくなれば消えていくのだろう。しか
し、ものといっしょにだいじな心まで失われていくのがやりきれん。そ
れをどうしたものか、私にはわからない。こんどのことは、そのひとつ
の試みだ。私のやろうとしていることは、馬鹿げているのかな。時代お
くれなのかな。どうだろう、山並さん。まあ、そんな男が世の中にひと
りくらいいても害にはならんだろう。狂った時代だからな。こちらも狂
ってかからないと負けになる」
 予算はあってないようなものだが、よろしく頼む。社長は、山並にそ
う伝えた。
「あつい夏になりそうです」
 山並は、そういいながら、社長の想いをとらえようとしていた。

                           (つづく)

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by revenouveau | 2006-09-21 09:44 | 小説のようなもの

今夜は心だけ抱いて

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


12年前に離婚し、幼い娘の美羽を残してきた柊子は、いま47歳。

ある日、母娘は再会し、ひょんなことからふたりの体が入れかわってしま
います。

娘を捨てた負い目をもつ母と、母に反発心を持ちつづけてきた娘。

はじめは、相手を思いやれないふたりでしたが、体が入れかわり、たがい
の人生を生きることになり、それぞれの思いをすこしずつ受け入れていく
ように…

おとなは完璧ではないことを知る美羽。

念願だった若さを手にいれたのに、それゆえ、とまどい悩んだことを思い
だす柊子。

そんななか、やがて、ふたりは気づきます。

年齢を言い訳にしてはいけない。17歳でも、47歳でも、じぶんを生きて
いける。

人生を輝かせるものは、大切な人とめぐり会うことの積み重ねなんだと。

■著者:唯川 恵 ■出版社:朝日新聞社 ■価格:税込1680円

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by revenouveau | 2006-09-20 10:00 | 立読のようなもの

紙の子守歌   (5)



 春のある日、山並は、社長室に呼ばれた。そこは、部屋というよりも
コーナーといった感じで、総務課と宣伝課のあるフロアの一角を移動式
の衝立てで仕切ったものだった。
「なにか、ご用でしょうか」
 古民具の図録に目をとおしていた社長は、顔をあげた。机のうえには、
ほかにも民具に関する本が何冊か積まれていた。
「山並さん、忙しいのに申しわけない」
 社長は、山並より十歳ほど年長だったが、生っ粋の職人らしく、だれ
にでも腰がひくかった。ひとに横柄で頑固ぶっている職人面をした人間
がなによりも嫌いだった。そんな半端なものを彼は職人と認めていない。
いまでも、現場の人手が足りないと聞けば道具をかついででかけていく。
お客さんが求めてくれるなら、どこへでもいく、一生修業だ。それが口
ぐせだった。
「ひとつ、聞いてもいいだろうか」
「なんでしょうか。いや、待ってください。なにをお聞きになりたいの
か当ててみましょう」
「さて、当たるかな」
 山並と社長との、いつもの呼吸だった。
「〈住まいの博物館〉のことでしょうか」
 山並は、近ごろ気になっていたことを口にしたが、机のうえに開かれ
た図録にちらと目をやると、社長の言葉をさえぎって、話しを継いだ。
「いやいや、もっと、なにか新しいことでしょう」
「山並さんも、わが社の台所は知っているでしょう。元手もなしに、新
しいことができますか」
「社長なら、やるでしょう」
 いやまいったな、と社長はひとのよさそうな赤ら顔をくずして頭をか
いた。

                           (つづく)

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by revenouveau | 2006-09-19 09:27 | 小説のようなもの

アタシ、どこか間違ってる?  (12)

「お客さまがお見えになられました」


さて、この言い方のどこが間違っているのでしょうか。

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by revenouveau | 2006-09-15 11:00 | 美句のようなもの