<   2006年 04月 ( 24 )   > この月の画像一覧

共犯者  associate

~ ハリウッド版リメイク(さえら案)~


                         期待度:★★★☆☆
                         実現度:☆☆☆☆☆
【キャスト】

冬川美咲(浅野温子)
     ■シャーリーズ・セロン 
謎の男性(三上博史)
     ■ジェラード・バトラー 
木場圭一郎(石橋蓮司)
     ■エド・ハリス 
高杉 亮(池内博之)
     ■ジェイク・ギレンホール 
坂下 舞(奥名 恵)
     ■スカーレット・ヨハンソン 
中尾文彦(佐野史郎)
     ■ウィレム・デフォー 
小林浩介(吹越 満)
     ■ジェレミー・レナー 

※ほか検討中

【ストーリー】

15年前に殺人を犯し、秘密を知られないよう、孤独のなかで息をひそめ、
目立たないくらしをしてきたクレジットカード会社のOLシャーリーズ。
あと2カ月で時効というとき、かのじょの前に謎の男性(ジェラード)が
あらわれ「ぼくは知っている、きみがかつてその手を血で染めたことを」
と告げたのです。
かれは、じぶんを脅迫者だといい、かのじょの秘密を守るかわりに提示し
た条件は、いっしょにくらすこと。かれの目的は? その正体は?
そして、いまもなお執念で、シャーリーズをおいつづける刑事 エドの影。
守りつづけてきた沈黙。シャーリーズの、自由までの残り2カ月が、狂い
はじめる…


■監督:M・ナイト・シャマラン ■初公開:未定
■出演:上記参照

d0063999_1102768.jpg
[PR]
by revenouveau | 2006-04-29 11:01 | 立見のようなもの

ハル 哲学する犬

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


まるで絵本のような詩集につづられているのは、哲学のにおいを感じさせ
ない、たしかな哲学。

ある日、夕陽がとても美しい丘のうえで、〈僕〉は、哲学にふける仔犬の
ハルに出会い、幸せという名のウイルスをもらったのです。

そして、〈僕〉が感染したのは、こんなお話し。

   夜空に瞬く星たちを自分のものにしたかったら
   手じゃなくて、心を伸ばしてみましょう。
                    (「あの星」より)

   あなたの手やあたなのこころが、
   いますぐ満たそうとがんばらなくても、
   人生というものは自然に満たされるものなのです。
                    (「気楽になる練習」より)

   いっしょにいるということ、ともに生きるということ、
   それがほかでもない「きみとぼく」なんです。
                    (「きみとぼく」より)

ただ読むだけなら、それほど時間はかかりません。けれども、この本は、
なにも書いてない余白を読む、行間を読む、そんな本といえるのではな
いかと思います。

翻訳を担当したのは、蓮池薫さん

ちなみに、「ハル」というのは、韓国で「1日」を意味する言葉でもある
そうです。

■著者:クォン・デウォン ■翻訳:蓮池 薫 ■出版社:ポプラ社
■価格:税込1000円

d0063999_9344540.jpg

 << よろしければクリックを
[PR]
by revenouveau | 2006-04-28 09:35 | 立読のようなもの

め き き   (6)



 ドイツ郊外の町にある民族学博物館が収蔵する古能面を修復するため
に一年半のあいだ渡独したのは、工房を築いた二年後である。かずかず
の面を目のあたりにし、保雄はヨーロッパの博物館や人々が、能面をは
じめとする日本の伝統文化に思いのほか関心を寄せていることに痛く感
じいった。そうした中で、みじかいなりにも異国の地にあって、保雄に
は観えてくるものがあった。
 父危篤のしらせが届いたのは、古能面の修復もすっかりおわり、帰国
を一週間後にひかえた日だった。保雄は、楽しみにしていた美術館めぐ
りの予定をとりやめ、即座に帰国した。
 幸蔵は酒のみのさだめともいえる持病の肝臓障害が急に悪化し、救急
車で病院に運ばれた。そして、息子の帰りを待つようにして父は逝った。
善く生きたとはいえるが、はやすぎる死だった。あとには、妻の光江と
息子の保雄が残された。遺産というほどのものはなく、ちいさな店と整
然とならべられた品物だけが、骨董の世界に魅せられた男の人生を物語
るようにして、ただそこにあった。
 しばらくして、父の旧知であり、隣の町でおなじく骨董商をいとなむ
真野が後見になり、保雄は伊豆長岡の工房をひきはらい、〈蔵屋〉を継
いだのだった。真野の妻の静子は、そのときすでにみまかっていたが、
かつては保雄の父と、書を通して親しくしていた。

                           (つづく)

d0063999_8145799.jpg




「めきき」は、毎週月曜日・木曜日(平日)に掲載します。

 << よろしければクリックを
[PR]
by revenouveau | 2006-04-27 09:28 | 小説のようなもの

かたみ歌

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


小説の舞台は、1970年前後の東京の下町・アカシア商店街。

芥川龍之介似で、有名な野球選手とおなじ名前をもつ、古本屋・幸子堂の
店主が意味ありげなキーマンとして全編に登場する連作短編集です。

あの日、あの場所、あの人の、かけがえのない思い出。

朱川湊人さんらしく紡がれた、ちょっぴり不思議なできごとが、傷ついた
登場人物のこころをやさしく包んでいきます。

商店街のテーマソング「アカシアの雨がやむとき」をはじめ、当時流行し
ていた歌とともに展開する奇跡の物語。

2005年「花まんま」で直木賞を受賞した直後の意欲的な作品に、あなた
のこころも、きっと、いやされていくのではないでしょうか。

■著者:朱川湊人 ■出版社:新潮社 ■価格:税込1470円

d0063999_9162973.jpg

 << よろしければクリックを
[PR]
by revenouveau | 2006-04-26 09:16 | 立読のようなもの

アジアンタムブルー

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


水溜りばかり撮影している無名の写真家・葉子と、エロ雑誌編集者・隆二
の出会いと別れを描いた物語。

幸せすぎるほどの同棲時代。

しかし、それも長くはつづきませんでした。

ある日、葉子は、金沢で、水溜りの撮影をしている最中に吐血。かのじょ
はすでに末期の胃ガンだったのです。

さいごのひと月を思い出の地・フランスのニースですごすふたり。

  「私が死んでも……」
   そう言って、葉子は声を詰まらせた。そして、声を振り絞るよう
  にして続けた。
  「優しい人でいてね」

愛するひとの死をまえにしたとき、わたしたちに、いったいなにができる
のでしょうか。

失うことの悲しみを超えて、“優しさ”の限りない力を感じさせてくれる
恋愛小説。

大崎善生作品の〈装置〉ともいえる、エロチシズムにあふれた性描写は、
みなさんの眼でおたしかめください。

■著者:大崎善生 ■出版社:角川書店 ■価格:税込1575円

d0063999_11285047.jpg

 << よろしければクリックを
[PR]
by revenouveau | 2006-04-25 11:29 | 立読のようなもの

め き き   (5)



              ■□■

 二年前までは、自分がこうして骨董屋の帳場にすわっていようとは、
保雄には考えもおよばなかった。〈蔵屋〉の帳場にすわりはじめ、やが
て一年半が経つが、そのきっかけは突然のようにおとずれた。
 二十歳をすぎたころ、保雄は美術大学で現代彫刻を専攻するかたわら、
独学で能や狂言の面を打つようになっていた。どういう拍子でそうなっ
たのかはともかく、そこに骨董を商う〈蔵屋〉の主人で書を趣味として
たしなんできた父・幸蔵の血を思わずにいられなかった。
 各地で個展をひらきながら精進をつづけ、面を打つことで、いつしか
口に糊することができるようになったのは、三十歳を目の前にしたころ
だった。彼の仕事は、めだたなかったが、打たれた面はたしかな評価を
得てひろまり、地元から神楽の古面の復元を依頼されたこともある。伊
豆長岡の静かな山あいの地に、古い民家の離れを借りて工房を築いたの
は、ちょうどそのころだった。気どらないのがいいだろう、そういって、
父が〈草木庵〉と名づけた。伊豆長岡は、頼朝とあやめ御前のゆかりの
地でもある。保雄は、そこが、ふたりの恋物語の舞台であることにちな
んで、はじめの試みとして、「あやめ」という創作面を打ったが、無欲
のなせるわざか、思いもよらぬ話題をよんだ。そして、いつしか保雄の
工房は、熱海の能楽堂や修善寺の能舞台で演能をおえた役者たちがかな
らず立ち寄る拠点ともなっていった。

                           (つづく)

d0063999_8145799.jpg




「めきき」は、毎週月曜日・木曜日(平日)に掲載します。

 << よろしければクリックを
[PR]
by revenouveau | 2006-04-24 08:19 | 小説のようなもの

魔 王

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


ひとびとのこころをわしづかみにし、大衆を扇動する若き政治家が出現し、
日本に選択を迫るとき、わたしたちはどうするでしょうか。

はたして、未来にあるのは、青空なのか、荒野なのか。そんな世のなかの
流れに立ち向かおうとする兄弟の物語。

表題作「魔王」では、不思議なちからを身につけた兄が長い考察のはてに、
巨大化しすぎたともいえる政治家との孤独な闘いを挑もうとする姿を、つ
づく「呼吸」では、兄とはちがう闘い方でその流れを食いとめようとする
弟を描きだします。

別々の作品が対をなし、呼応しながらひろがっていく静謐な文学の世界。

伊坂幸太郎さんご本人が「自分の読んだことのない小説が世みたい。そん
な気持ちで書きました。」と書いている▼ように、これまでとはちがった
新しさを感じさせる一冊といえるかもしれません。

読んだあと、わたしたちのこころに残るもの。それは、ひとそれぞれだと
は思いますが、“なにか”について“考えて”ほしいというメッセージで
あることは、たしかではないかとわたしは思いました。

■著者:伊坂幸太郎 ■出版社:講談社 ■価格:税込1300円

d0063999_833472.jpg

 << よろしければクリックを

▼伊坂幸太郎さん直筆のコメントをみる
[PR]
by revenouveau | 2006-04-21 08:34 | 立読のようなもの

め き き   (4)



 保雄の顔色が、みるみるかわっていくのにこらえきれず、真野は思わ
ずふきだしてしまった。
「まったく! 真野さんもじょうだんがすぎますよ。心臓がとまるかと
思いました」
 このていどで心臓をとめていたら骨董屋などできんぞと真野は保雄を
いましめた。
「それにしても、青くなったり、赤くなったり、おまえもたいへんだな。
いずれにせよ、ああいう客がきたときには、どうもありがとうございま
す。勉強になりました、と礼のひとつもいって頭をさげておくものだ」
 保雄は長身をおりたたむようにして恐縮した。
 まあまあ、といって真野はガラスの陳列ケースの中から黒織部の沓茶
碗を無造作にとりあげた。
「これとて、いまでは抹茶碗として珍重されているが、なかには、たく
あんなどをどかっと盛ったりしてつかった風流びとがいたかもしれん。
そんな記録は、どこにも残っていないと思うけれども…… きょうは漬
物鉢にでもしてみよう。そんなふうに思う日があってもいいだろう。人
間とはきまぐれなものだからなぁ。ともあれ、どうつかうのかは、持ち
主の勝手ということだ。ものをひとつの角度からしか見ることができな
いのは残念なことだ。ひとは、見たいものを見たいようにしか見ないが、
角度をかえれば、いろいろなものが観えてくる。もんだいは、それを持
つものの審美眼だろう」
 保雄は、ひとからひとへ三百年あまりを伝世してきたであろう、真野
の両手につつまれた沓茶碗に目をやりながら、そのゆくえを自分の身に
ひきあててみた。この黒織部は、ときのながれの中で、どのようなひと
の手を経て、どのようにつかわれてきたのだろうか。運命というものの
ふしぎを、なにげなく考えていた。

                           (つづく)

d0063999_8145799.jpg




「めきき」は、毎週月曜日・木曜日(平日)に掲載します。

 << よろしければクリックを
[PR]
by revenouveau | 2006-04-20 09:32 | 小説のようなもの

孤独か、それに等しいもの

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


憂鬱にしずみ、または傷つき、かじかんでしまったひとのこころを繊細に
映しだし、やわらかな光をそそいでいく、5つの物語をおさめた短編集。

   今日一日をかけて私は何を失っていくのだろう。

これは、冒頭をかざる「八月の傾斜」からの一節。

過去につながる、なんらかのトラウマをもち、それをひきずりながら生き
ている主人公たち。

再生と恢復へむけた、大崎善生さんの祈りにも似た言葉たち。

失うことはかなしいけれども、そのさきには、ちゃんと未来もあることを、
ひとつひとつの物語が教えてくれます。

たとえちいさくても、あしたへの一歩を踏みだしてみよう。

そんなふうに考えているひとの背中を、そっと後押ししてくれる一冊です。

■著者:大崎善生 ■出版社:角川書店 ■価格:税込1470円

d0063999_922471.jpg

 << よろしければクリックを
[PR]
by revenouveau | 2006-04-19 09:22 | 立読のようなもの

みずうみ

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


いつのまにか、主人公〈私〉の家に住むようになった中島くん。

ふたりは、家族のまねごとをするように、ちいさな世界をつくって日々を
生きていました。

ある日、みずうみの近くに住む、かれの昔の友だち(兄妹)を、ふたりで
訪ねたことをきっかけに、徐々に、中島くんのふしぎな過去があきらかに
なって…

まさに、みずうみの水面を、すうっと、風がなでていくように、しずかに
ながれていく物語。そこにたたえられた水の清らかさ、透明な思いの深さ
にのみこまれていくような気がしました。

かなり「好き」という声が多い、表紙の写真は、川内倫子さん撮影による
もの。この小説の、世界のひろがりをよくあらわしていると思います。

■著者:よしもとばなな ■出版社:フォイル ■価格:税込1260円

d0063999_1031231.jpg

 << よろしければクリックを
[PR]
by revenouveau | 2006-04-18 10:33 | 立読のようなもの