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あなたと、どこかへ。

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


日産のセダン“ティアナ”のウェブサイトで公開されていた、8つの短編
が一冊の本になりました。

車をモチーフにした物語を書いているのは、

   「東京湾景」の、吉田修一さん。

   「対岸の彼女」の、角田光代さん。

   「池袋ウエストゲートパーク」の、石田衣良さん。

   「女はこうしてつくられる」の、甘糟りり子さん。

   「東京坊ちゃん」の、林 望さん。

   「海猫」の、谷村志穂さん。

   「スローなブギにしてくれ」の、片岡義男さん。

   「古道具 中野商店」の、川上弘美さん。

と、かなり気になるひとたち。

車という、かぎられた空間のなかで、くりひろげられる会話やできごと。

読みすすむうちに、わたしたちは、いつのまにか、同乗者となっている
ことに気づくのです。

■著者:上記参照 ■出版社:文藝春秋 ■価格:税込1100円

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by revenouveau | 2005-11-30 07:53 | 立読のようなもの

アンボス・ムンドス

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


小学校の夏休み。人生で一度きりの思い出ときめて、キューバに旅立った、
若い女性教師と不倫相手の教頭の帰国を待っていたのは、生徒の死と避難
の嵐でした。

アンボス・ムンドス。

それは、「ふたつの世界」や「両方の世界」などを意味するスペイン語。

地球の〈裏〉で、しあわせな時間をすごしたふたり。〈表〉にもどって、
きびしい現実に直面するふたり。幸福と不幸は、ふたつの世界で、同時に
おこっていたのです。

目のまえにいる、おそらく作家であろう人物に、当事者であった女性教師
が語り手となって物語が展開する表題作をはじめ、全7話を収めた短編集。

すべての作品に共通するのは、人間の悪意やアンモラルへの傾倒。

これこそが桐野夏生さんの真骨頂。(おそらく…)

〈悪〉は、いつか、〈善〉へとかわるだろう、などと思って読んでいると、
それは、みごとに裏切られるのです。

■著者:桐野夏生 ■出版社:文藝春秋 ■価格:税込1365円

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by revenouveau | 2005-11-29 08:21 | 立読のようなもの

トラベリング・パンツ

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


癇癪もちで大きなお尻を気にするカルメン、美人だけれどもどこか冷たい
レーナ、運動神経抜群で突っ走るタイプのブリジット、やせっぽちで反抗
的なティビー。

それぞれに魅力を感じさせる、現代的な4人の女の子たちは、この世に生
まれたときから、姉妹以上の“きずな”でむすばれた友だちでした。

あるとき、出会った一本のジーンズ。

体型のちがうかのじょたちの、だれがはいても、なぜかぴったりフィット
してしまうのです。

そして、16歳を目前にひかえ(かのじょたち4人はみんな9月が誕生月)、
生まれてはじめて、バラバラにわかれてすごすことになった夏。かのじょ
たちは、ルールをつくり、一本のジーンズを、順番におくりあって、はく
ことに…

それぞれが、知らない世界に足をふみいれ、新しいことを体験して、その
記憶を一本の旅するジーンズに刻みつけていく夏。

遠くはなれていても、ジーンズをはけば、みんなとの“きずな”を感じる
ことができる。そんなすてきな、友だちとの関係を描いた物語です。

そして、この作品は、「旅するジーンズと16歳の夏」というタイトルで、
この秋公開されました。

■著者:アン・ブラッシェアーズ ■翻訳:大嶌双恵 ■出版社:理論社
■価格:税込1449円

※「セカンドサマー」「ラストサマー」という続編も用意されています。

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by revenouveau | 2005-11-28 08:01 | 立読のようなもの

生協の白石さん vs ガンダム

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


東京の西部、多摩地区にある東京農工大学の生協で働く職員の白石さんは、
あつかう商品についてのみならず、どんな質問にも答えてくれるひと。

「一言カード」をとおして交わされる学生たちとのやりとりが、なんとも
ほほえましいのです。

などと書いているうちに、なんと この「生協の白石さん」現象は、CMの
世界までも席巻しようと…

★「生協の白石さん」と「ガンダム」とのコラボCMはこちらから。
 白石さんによる、手書きの「一言カード」もごらんになれました。が…
 ※期間限定:11月30日(水)まで(現在は、終了しています)

■著者:白石昌則 &東京農工大学の学生のみなさん
■出版社:講談社 ■価格:税込1000円
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by revenouveau | 2005-11-25 15:53 | 立読のようなもの

写真展 ペルソナ

Photo exhibition "Corbis Outline : Personae"


10月末に 「フランス国立図書館写真展」がおわったシャネル・ギンザ
では、来年のはじめに、また新たな写真展の開催を予定しています。

「コービス・アウトライン:ペルソナ」

コービス・アウトラインは、世界最大の、著名人のポートレートをそろ
えた権威あるコレクション。

本展では、ニコール・キッドマン、ジョージ・クルーニー、オノヨーコ、
ダライ・ラマ、北野武など、約80名のポートレートが展覧されます。

これらの写真を撮影したのは、世界的に活躍しているマーク・セリガー、
ルーベン・アファナドー、マーティン・ショウラー、ジェームズ・ホワ
イトといった、そうそうたる顔ぶれ。

お近くの方は、おでかけになってみてはいかがでしょうか。

■会期:2006年1月11日(水)〜31日(火)・午前11時〜午後8時
■会場:シャネル銀座ビル4階 シャネル・ネクサス・ホール
    東京都中央区銀座3-5-3
■入場無料
※くわしくは、Event Informationにてご確認ください。
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by revenouveau | 2005-11-25 11:46 | 所感のようなもの

酔って言いたい夜もある

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【なんとなく 角田光代ウイーク 5/5】

みずからを「話すのが苦手なだけではない、私ははげしい人見知りだし、
あがり症なのである」という角田光代さん。

そんなかのじょに、ある日、出版社から「対談集を出しませんか」と声が
かけられたのです。

やがて、かのじょが、“会いたいひと”として指名した4人の女性。

   魚喃キリコさん。 漫画家(なななん・きりこ) 1972年生まれ

   栗田有起さん。  作家(くりた・ゆき)    1972年生まれ

   石田 千さん。  エッセイスト(いしだ・せん)1968年生まれ

   長島友里枝さん。 写真家(ながしま・ゆりえ) 1973年生まれ

渋谷区広尾の「泥武士」ほか、居酒屋や中華料理店で、お酒を飲みながら
くりひろげられる本音トーク。

酔っているせいでしょうか、なかなか、きわどいお話しも…

そして、角田さんは、あとがきに、こう記します。

「(略) 私が会いたかった四人の共通点だが、その共通点の意味が理解
できた。面白いのだ。乱暴にまとめてしまうと、仕事をしている三〇代の
女性は面白い。その仕事が魅力的であればあるほど、彼女たちは面白い。
ニ〇代ほど肩に力が入っておらず、けれど脱力しきってもいない。かつて
の恋愛の馬鹿な感じを笑えるが、けれど悟りきったわけではなくて、とき
どきなんとなくあがく。 (略)」

■著者:角田光代 ■出版社:太田出版 ■価格:税込1554円

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by revenouveau | 2005-11-25 07:47 | 立読のようなもの

これからはあるくのだ

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【なんとなく 角田光代ウイーク 4/5】

角田光代さんご本人を知るには、絶好ともいえる本。

収められた31のエッセーは、いずれも、かのじょのまっすぐな人柄と
天然ぶりを醸しだしていて、とても、おかしい。

表題作となっている「これからは歩くのだ」は、とりわけ、秀逸?

コンビニにはいった友だちを待ちながら、とめた自転車に寄りかかって
いたら、どうしたことか、そのうしろで老人がばったり倒れてしまう。
そのあげく、そばにいた中年の女性に、「この自転車が、この自転車が
向こうから猛スピードで走ってきて…」といわれるしまつ。さらには、
老人までもが、「この自転車が、うー、…」とやりはじめ、かのじょは、
くもの糸から落とされたカンダタのような気分になってしまうのです。

そのほか、じぶんの住んでいるまちで道に迷い、路上でまんまと詐欺に
ひっかかり、…

理不尽な目にあっても、だまされても、みずからの身に起こった事件を
屈託なくつづっていく角田さん。

ささいなできごとを、さもおもしろく書こうとするような力みを、まっ
たく感じさせない、ひょうひょうとした文章が、わたしは好きです。

■著者:角田光代 ■出版社:文春文庫 ■価格:税込530円

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by revenouveau | 2005-11-24 07:45 | 立読のようなもの

あしたはうんと遠くへいこう

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【なんとなく 角田光代ウイーク 再掲2/2】

15年という歳月で、ひとはどのくらい成長できるのでしょうか。

  あしたはいつか、この小さな場所からどこかへ出ていくことができる
  のだろうか…

そんなふうにつぶやく栗原泉は、田舎の温泉町で生まれ育った17歳の高校生。

東京の大学にでてきて、卒業して、働いて…

こんどこそ、幸せになりたい。

そう願って、さまざまな恋愛を繰りかえしながら、すこしずつ、すこしずつ
あしたをめざして歩く15年。

同棲したり、アイルランドへ一人旅にでかけたり、ドラッグを経験したり、
宗教に凝ったり、ストーカーにつけまわされたり、友だちの不倫問題で誘拐
まがいのことまで…

さまざまなことを知って成長しているはずなのに、ひとを好きになったとき
だけは、なぜか「あのころのまま」。じぶんとは、ぜんぜんちがう、別人の
ようになってしまったりもします。

いろいろなことが、唐突にはじまり、唐突におわる。そのはてに見えてきた
ものは、なんだったのでしょうか。

わたしは、いったい、なにものなの。

なんど失敗しても、まただれかを好きになれる、そんなじぶんがすてきだと
も思う。かっこいいことばかりじゃないけれど、それでも、前をむいて歩い
ていける、そんなじぶんが大好き。

あしたはうんと遠くへいこう。

インディーズロックの名曲の名前がつけられた各章のタイトル。物語の裏で
音楽がいつもながれているような、よきロックンロール・リスナーでもある
角田光代さんならではの作品。

って、これは、なんと角田さん初めての恋愛小説でした。

■著者:角田光代 ■出版社:マガジンハウス ■価格:税込1470円
※角川文庫から文庫版がでています。(税込460円)

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by revenouveau | 2005-11-24 07:42 | 立読のようなもの

空中庭園

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【なんとなく 角田光代ウイーク 再掲1/2】

だれでも、ひとつ、ふたつの秘密はもっているものです。

かたくなに心の奥底にしずめているようなものではなく、なんとなく言いだ
せないでいるような、ちょっとしたこととか… たぶん、そんなものも。

郊外の団地で暮らす京橋家のモットーは、「なにごともつつみかくさず」。

しかし、ほんとうは、みんながそれぞれ秘密をもっているのです。

ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見えかくれする風景は、はたして…

京橋家というひとつの家族をモチーフに、ほどよい分量の短編で構成された、
連作小説。

家族。

そういっても、おたがいを完全に理解しあえているわけじゃない。おたがい
を完全に所有しているわけじゃない。それぞれがそれぞれの価値観をもって、
じぶんの人生のなかに、家族という存在を位置づけていきます。ぼんやりと。

ひとりでいれば秘密にならないものが、だれかといるから秘密にしなければ
ならない必要性。しかし、だれかと関わらなければ、生きていけない人間の
ジレンマ。それぞれが胸のうちに抱えこんでいる闇の部分を、角田光代さん
ならではの筆致で、シニカルに、するどく、そしてあっけらかんとつづって
いるのが印象的な作品。

ベランダのプランターで、行儀よくならんでいるマリーゴールドに、そっと
水をあげたくなりました。

ちなみに、この作品は、小泉今日子さん、鈴木杏さん、板尾創路さんほかの
出演で映画化もされています。(現在公開中・再掲記事掲載時)

■著者:角田光代 ■出版社:文芸春秋 ■価格:税込1680円

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by revenouveau | 2005-11-24 07:41 | 立読のようなもの

キッドナップ・ツアー

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【なんとなく 角田光代ウイーク 3/5】

   夏休みの第一日目、私はユウカイされた。

こんな一文で物語は、はじまります。

テレビに映った、新発売のアイスクリームを買いに行こうと、道を歩いて
いた〈私〉は、車に乗ったおじさんに声をかけらました。

「おじょうちゃん、お乗りになりませんか」

小学校5年生の〈私〉は、おじさんにユウカイ(=キッドナップ)されて
しまったのです。

さらに数行、読みすすんでいくと、ふたりは、顔見知りのようす。

なんと、ユウカイ犯は、2カ月前に、家からいなくなっていたおとうさん
だったのです。

だらしない。情けない。お金もない。そんな、「3ない」のおとうさんに
連れだされて、〈私〉の夏休みは、どうなってしまうのでしょう。

海水浴、肝だめし、キャンプ、自転車泥棒、…

いつでも冷静な女の子・ハルと、どうしようもないダメおやじの父親との、
ひと夏の〈ユウカイ旅行〉。

旅のおわり。いつまでも、ばかみたいに手をふりつづけているユウカイ犯
をみつめながら、〈私〉は、あの男のひとが大好きだと思うのでした。

■著者:角田光代 ■出版社:理論社 ■価格:税込1575円

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by revenouveau | 2005-11-22 20:46 | 立読のようなもの