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タタド

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


環境省の水質調査で最高レベルのトリプルAを獲得したこともある、青く
透き通った海と白い砂浜。それが静岡県下田市にある多々戸浜。

そこからつけられたタイトルは「タタド」となり、抽象的な場所のイメー
ジに。カタカナの乾いたひびきも、小説の世界を象徴しているかのよう。

物語に登場するのは、地方テレビのプロデューサーをしているイワモトと
妻のスズコ、イワモトの番組に出演している女優のタマヨ、そしてスズコ
の元同僚のオカダ。

海辺のセカンドハウスに集まってきた50代の男女4人。

昼間は浜で海藻を拾ったり、夜は部屋で夏みかんを齧ったり、そんなあど
けない時間のなか、倦怠と淡い官能が交差して…

場所のちからが、かれらのからだを開いたのでしょうか。

川端康成文学賞を受賞した表題をふくめ、全3編を収録した短編集。

偶然再会した同級生夫婦の家での住み込みの仕事に就いた男性の姿を描い
た「45字」もおすすめです。

■著者:小池昌代 ■出版社:新潮社 ■価格:税込1470円

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by revenouveau | 2007-10-19 09:06 | 立読のようなもの
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