人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ペンキや

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


すごく洗練された絵画のように、軽やかだけれど、とっても奥が深い印象
をうける絵本です。

ペンキを塗ることで、ひとびとのこころを癒していく。そんなペンキ職人
しんやの生涯。

かれの、あたまのなかには、ひとつの色がしずんでいました。

それは、フランスで亡くなったという、お父さんのお墓をたずねるために
乗りこんだ船のうえで出会った、不思議な女性の言葉のなかにあった色。

   「ユトリロの白」

よろこびやかなしみ、はずむような気持ちやさびしい気持ち、怒りやあき
らめ、世のなかのにごりも美しさもはかなさも、すべてがはいった白。

しんやのお墓には、こう書かれています。

   「不世出のペンキや ここに眠る」

見えるひとにしか、見えないペンキで……

■著者:梨木香歩 ■絵:出久根育 ■出版社:理論社
■価格:税込1365円

ペンキや_d0063999_910255.jpg

 << よろしければクリックを
by revenouveau | 2006-07-07 09:10 | 立読のようなもの
<< あなたの予想は… め き き   (26) >>