人気ブログランキング | 話題のタグを見る

夜の公園

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


夜の公園が「住みついちゃいたいくらい」好きなリリ。

かのじょは、さいきん、夫の幸夫が好きではないということに気づきはじ
めています。

もちろん、いちどは結婚したのだから、はじめのうちは、幸夫が申し分の
ない夫だったことも…。ところが、いまは…。

そのことにいつ気がついたのか、リリは、うまく思いだせないけれども、
とにかくなにかが好きじゃないのです。

寄り添っているのに、とどかないのはなぜ。

そんなひと組の夫婦を中心に、さまざまなかたちでかかわりを持っている
5人の男女の心模様を写した連作短編のような長編小説。

作者の川上弘美さんがいう「恋愛の怖い部分」を描きながら、恋愛の現実
に深く分け入っていこうとする態度。それは、登場人物たちが、それぞれ
に葛藤する姿からとてもよく伝わってきます。

ふわっとした語り口は健在ですが、川上さんの新しい世界を感じさせてく
れる現実感覚にあふれた作品といえるかもしれません。

余談ですが、この物語のモデルになっている公園、わたしは、井の頭公園
を想像しながら読んでいたんですが、ほかに読まれた方、どう思われたの
かお教えいただければ幸いです。

■著者:川上弘美 ■出版社:中央公論社 ■価格:税込1470円

夜の公園_d0063999_818851.jpg

 << よろしければクリックを
by revenouveau | 2006-07-04 08:18 | 立読のようなもの
<< きいろいゾウ め き き   (25) >>