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肉中の哲学

(「立読のようなもの」にはネタばれがある場合がございます)


メタファーという言葉をごぞんじでしょうか。

それは、日本語では、隠喩といい、言語表現における修辞技法のひとつ。

わたしたちは、なにかをたとえるとき、「○○○のようだ」というような
言い方をすることがありますが、メタファーは、そうではありません。

   人生は、音楽だ!

といった感じで、たとえの形式をとらないのです。

本書は、人間という肉体と精神とをもつ存在のなかで、メタファーがどの
ように生成されていくのかを、哲学の側面からリアルに解明しています。

そして、◎心は、本来、身体化されたものである、◎思考は、たいていの
場合、無意識のものである、◎抽象的な概念は、メタファーなものである、
といった点を、現代認知科学の成果によって論証しようと試みます。

プラトンから、デカルト、カント、さらに分析哲学、ポストモダニズムに
いたるまで、観念のラビリンスに迷いこんでしまった、従来の西洋哲学に
対して「人間は、お肉なのよ!」というなままなしい警鐘を鳴らす一冊。

ただ、残念なのは、現代のアメリカ英語の言語感覚だけを前提にしている
ところ。そして、翻訳が、あまりにもよくないこと。(おそらく、原書を
読むほうが、わかりやすいと思います)

このレビューを読んで、「あっ、おもしろそう」と思ったあなた。なにか、
よくない病気かもしれません。       (さえら病・初期症状?)

■著者:ジョージ・レイコフ、マーク・ジョンソン ■翻訳:計見一雄
■出版社:哲学書房 ■価格:税込6930円

肉中の哲学_d0063999_905942.jpg

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by revenouveau | 2006-03-07 09:01 | 立読のようなもの
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